[3]季節は冬、だけどケンには春到来・・・? [2016/1/13(水)] |
ケン 「!!??」
ここで僕に衝撃が走った。
僕にお礼を言う小池のその声は、明らかに
楽しんごさんみたいな声だったのだ。
…いや、まてまてまて、待ってくれ。
あれ…?
ひょっとして、、、
改造手術を終えた方ですか?
いやいや、違うでしょ?
酒焼けでしょ?
だって、とても綺麗な方ですよ。
なんならもう、少し好きかもしれませんよ。(簡単か)
お、落ち着け。
風邪気味か?
もう混乱して脳内がパニックだったが、露骨に驚いてしまったら、この女性(未確認)に対して失礼すぎる。
そして小池はこう言った。
「あのぉ…この後時間ありますか? 一緒に来てほしいところがあるんです。」
「あ、はい…。」
もうテンパってなんだかわからない気持ちと、もうどうにでもなれ!っていう気持ちが導き出した答えだった。
そこからは車で移動。
小池に先導してもらいながら走っていた約20分間、気が気ではなかった。
どこに連れていかれるのか、と。
ただでさえ土地勘のない人間が、コアでディープなところに連れていかれてしまうのではないだろうか。
パーキングに車を止め、あるお店に案内された。
地下へと階段が続いていた。
「この洞窟の奥はどうなっているかわからない、このまま進みますか?」
→はい
いいえ
謎の女性(かもしれない)小池。
地下へと進み、扉を開けた時、僕はすべてを理解した。
以前記事にも書いたことがあるかもしれないが、この日僕は「ノースエ」と呼ばれる格好だった。
なんだか意味が分からない方もいるだろう。
ピンと来た方は新宿2丁目に詳しいのだろう。
「一重ナイト」
「ノースエナイト」
これは、ある特定の男性が、入場料無料になるイベントのことである。
「一重ナイト」は文字通り瞼が一重の男性が対象。
「ノースエナイト」はノーパン+スエットの造語だ。
そう、僕は、「うわ、ちょっときれいな女性に声をかけられて丁寧に教えてあげて、なんだか良い感じになって、なんか、なんか、なんか……。」とかちょっと思っていたのにも関わらず。
事実は全くの逆だったのだ。
小池は、僕が連れてこられたお店のママ…ん、いや、本当はパパ?の娘、いや本当は息子で、父親であるママ、いや生物学的にはパパに、人生勉強だと言ってパチンコ屋に行かされたのだった。(ややこしい…)
しかしこの小池は、本当にほぼ女性だった。
喋らなかったら、最後まで分からなかった。
今、「おい、何をもって最後だよ!」と思った読者の方は想像力が豊かすぎであろう。
まあとにかく、そんな状況で、ホールにて一重でノースエな僕を発見。
なぜノースエであることがばれてしまったのか、僕にも謎なわけだが。
結局は、ナンパされていたわけである。
小池は声と外見の違いに案の定コンプレックスを感じていたわけだが、僕はホールの中だったし全く気が付かなかったのだ。
誰にでも優しくできる人だと思われてしまい、さらに好かれ、今に至るわけだ。
オカマというかオネェというか、まぁ強烈な人々に囲まれ圧倒されている自分がいたのだけれど、なんだろうか。
本当に居心地のいい場所だった。
1時間もしないうちに、僕はオネェたちの前で自分の生い立ちまで語っていた。
オネェたちによるさりげないボディタッチを、やり手のキャバ嬢さながらにするすると回避しながらもガブガブ酒を飲んでいた。
しかし、ここでふと我に返る。
お客さんは僕だけ。
従業員であるオネェ軍団は凄い飲んで食べている。
カラオケも歌いまくっている。
僕はこういうお店には詳しくないのだが、料金は…?
お、お会計は?
一路という山形県の有名なお酒も気が付けば開いていたし、福島の超高級なお酒である飛露喜ももう半分になっていた。
これだけでもう軽くウン万円だろーーーがーー。
「おい、にいちゃん! 飲んどいて払えねぇとはどういう了見だ! 払えない分は勿論体を使って…。」
とか言われていたらどうしよう!!!!
酔いも吹っ飛ぶ現実に直面した僕は、顔面蒼白で小池を指でチョンチョンとした。
これがまずかった。
もう大騒ぎ。
彼らはやはり人間力が半端ないので、細かい動作を見逃さない。
やれ一緒に帰れだの、やれお持ち帰りするだの。
「ち、ちち、っ違う! 値段! お会計!」
という僕の心の声は誰も聞いてくれなかった。
ここで、よく考えてみる。
折角招待されて、楽しく飲んでいるのに、お金の心配をするなんて野暮だと。
彼らはそう言いたいのであろう。
僕はなんて的外れなことを考えて、顔を赤くしたり青くしたりしていたのだろうか。
誰も知り合いがいない東北にきて、こんなに楽しい時に…なんて馬鹿な。
ここでママが、マイクを片手に話を始めた。
今日でこのお店は最後なのだという。
毎日こんな感じで、お客さんもいないのにパーティばっかりしていたら、そりゃ経営は厳しくなるに決まっている。
従業員に感謝の言葉を浴びせているうちに、みんなで泣きながら騒いでいた。
僕は「なんていう瞬間に立ち会えたのだろう」と感動した。
全員で握手して、写真も撮った。
感動に包まれながら、いくら払ってもいいと思ってしまった。(いや、貧乏社会人なんですけどね)
最後に〆の言葉。
「明日からは…ウっ……○○(店名)として再オープンします!」
ポカーンの僕を除いて、オネェの皆さんおおはしゃぎ。
それってただのリニューアルやんけ…。
こうして、僕のアドレス帳にゼロだった現地の人たちの連絡先が一気に25も増えて、ちょっと変わった友達がたくさんできました。
え?
お会計いくらだったのかって?
全員合わせると、間違いなく車一台買える値段でしたよ。
このママ、実は誰でも知っている大企業の元役員で、ちょっとした資産家らしく、月に一回必ず顔を出すことを条件に、タダになりました。
本当は店の名前も出して大々的に紹介したいくらい最高のお店だったのですが…。
こっそりとやりたいからとNGだったのでごめんなさい。
以上、この冬のちょっと変わった体験でした。
では。
さらばっ!
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