[2]2%を引ける男になれるのかっ…!? [2017/8/4(金)] |
すると彼女から、
『生理…きました。 心配かけてごめんなさい。』
良かった…本当に良かった。
しかしながら、その安堵を全面に出す事などもちろん出来るはずもなく、
「きたんだね! 色々心配したけど、何より体が無事で良かった!」
そんな当たり障りのない言葉をかける事しか出来ないのも、中途半端な私らしさなのだろう。
『心配してくれていてありがとうございました。』
そんな彼女の言葉に、どこか元気がなく感じるのは、妊娠してなかった事への悲しさなのか、はたまた私に対する気持ちの冷めによるものなのか…
「また今度色々とゆっくり話そう。」
そんな当たり障りない言葉で締めくくろうとするも、
『いつ話せます?』
と、そんな前のめりな返しをされるとは思わず、何か言いたい事を溜め込んだ彼女の気持ちをここで悟りながらも、それに気付かないふりをして、
「明日の仕事終わりなら。」
そんな嫌な流れにしてしまうのだった。
しかしながら、そんな彼女からの一報で背中に背負っていた10トン級のプレッシャーが突如消え、足早に進路を変える。
到着したのはいつものホール。
今日は勝つことが目的ではない。
閉店時間まで心のままに打ち散らかし、結果勝っていれば最高。
それぐらいの気持ちだ。
そして、そんな強気な時程、意外に大勝ちするものだ。
どんなメンタル状態で行く時に勝つ事が多いのか、そんな事を肌で感じる事が出来るのは、週5でホールに足を運ぶ者の特権だ。
結果、マイナス35Kでホールを出たのだった。
【翌日】
どうやら、昨日のチーフの怒りは据え置きのようで、朝から他のスタッフにまで怒鳴り狂う荒れよう。
立場上、色々なストレスが溜まっていたのだろう。
私はただその怒りの矛先を向けられない事だけを意識すべく最高の立ち回りに徹した。
しかしながら、隙間なく剛掌波を打ち続けるチーフから逃れられる術もなく、突如ジャガイモが頭に落ちてくる。
チーフの手から投げ落とされたのは、チェリーでもスイカでもなく、紛れもなくジャガイモだった。
“これは小役じゃないでしょーが! チャンス目? イタイ目?”
そんな事を言える空気ではなかったが、かといって投げられたジャガイモをスルーする訳にも行かない。
少しの間をおいた後、
「なにジャガイモ投げてんすかー!!」
と、怒鳴り慣れていないが故に、小田和正のミックスボイス並みの高さまで声が裏返る。
そんな美声なんぞお構い無しに、
『お前は一体何しに来てんだー!』
と再度怒鳴り返され、
「仕事しに来てるんです!!」
と言い返した所で、セコンドからタオルが投げられたのだった。
すぐに店長室に招かれ、店長から色々とご指導を受けるものの、想像以上に気持ちを汲み取ってくれた事に強張っていた体や心が少しやわらぐ。
話を聞いてると、この店の八百屋の新入社員は4年連続でチーフとぶつかって辞めていたという事実を知る。
“ここじゃない”って所での引きの強さは…まぁ普通なはずだ。
にしても…
あの感情の起伏の激しいチーフの元で今後ずっと働くのは正直辛い。
このまま続けようものなら、スロットを楽しめる精神状態ではなくなって、スロット店に行く回数が減って、貯金が増えて、彼女との時間も増えて…
良い事だらけではないか…。
しかしながら、その精神状態を毎日続けるのはいかがなものか。
「台移動自由ですか?」
ダメ元で、そんなニュアンスを店長に伝えた所、今度の店長会議で相談してみると前向きな言葉を頂いたのだった。
そんな話が水面下で動くのであれば、もう少しの我慢だと思ってチーフとの関係性を少しばかり良好にしておいた方がよいだろう。
店長室を出るなり、先程の生意気な発言を謝ろうとチーフの元へ向かう。
しかしながら、近付いてみると…
“不機嫌と怒りを使って丹精こめて作りました”
と言わんばかりのチーフの佇まいに、近付く事を体が超絶に拒絶する。
とは言え、そうも言ってられない。
「チーフ! 少しお話宜しいでしょうか?」
恐る恐る声をかける。
どうか、穏やかであってくれ。
結果、
『お前と喋ることはない! 帰れ!」
そんな心無い言葉に、
「やめます!!」
と、心にも無い言葉を返してしまうのだった。
【つづく】
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!
また会える日まで(^o^)
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