[4]時計仕掛けのオレンジ [2014/6/20(金)] |
先日、うちの会社に22歳の若者が入社してきた。
仕事中も無口で休憩時間も大人しい新入りだったのだが、談笑中の「ペカる」という言葉にピクッとしたのを俺は見逃さなかった。
「交流も兼ねて、スロ話でちょいと盛り上げてやるか」
そんな軽いノリで俺は絡み始めた。
一見大人しそうなこの新入り。
だがその内面は、驚くべき個性の持ち主であった。
北斗とバジリスク絆しか打たない、なんて言うので、どんな立ち回りをしているのか何気なく聞いてみたところ...
新入り
「立ち回りっていうか、今日はこの辺が出るかなぁってカンジで、台選んでるだけです。」
俺
「ふーん。 で、2、3台に絞って追っかけるわけ?」
新入り
「いえいえ、最初の台をずっと打ちますよ。 カマ掘られるのが大嫌いなんで。 台移動は絶対しないです。 掘られるくらいなら、その台で負けた方がマシです。」
俺
「ハハハ。 でもカマ掘られるったって、そうそうデカいのなんか掘られないだろ?」
新入り
「いえ。 100枚とかでも掘られるとイライラしてくるんですよ。 だから移動は絶対しないです。」
俺
「ふーん。。。」
なんだこいつ。
カマを掘られないということに異常に執着しているぞ。
しかも勝つことよりも優先してる。
なんかこわい!
俺
「まあ気持ちはわかるけど、台移動したからこそ勝てたっていうパターンもあるだろ? 俺の経験上、むしろそっちの方が多いけどな」
新入り
「でもそれが失敗して、自分の台がカマ掘られてたら最悪じゃないですか〜」
う・・・
俺
「いやいや、掘られた分より出したら結果オーライだろ!」
新入り
「そうですか? フリーズとか引かれてたら最悪ですよ。」
(´・ω・`)?
なんか話が噛み合ってない気が・・・
俺
「わかった。 じゃあお前が閉店まで打ってた台が、次の日朝イチで大爆発してたら最悪ってことだな?笑笑笑」
新入り
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうですね。」
おいおい、なんだその間は。
いや、悪かったよ。
っていうか、お前は本当にスロットが好きなのか?
新入り
「ボク、前から思ってたんですけど、出るか出ないかは最初から決まってると思うんですよね。 フリーズ引いたとかよく聞くけど、あれは誰が打ってもそこで引けるんですよ。 そう思いませんか?」
俺
「い、いや、思わんけど・・・。 お前、昔なんかあったんか?」
新入り
「ハバタケさんて、いつもどんなカンジで打ってるんですか?」
俺のターンかよ・・・
俺
「俺はなー、まず全部のシマを徘徊して、良さそうな台があったらそこそこ回して、ダメなら次々にカニ歩きしていくってカンジだよ。 それでダメなら逆転狙いで玉に行くかな」
新入り
「かなり能動的っスね! ボク、玉は怖くて打てないですよ!」
の、のうどうてき??
なんか、あんまり聞かない例えで表現されたぞ・・・
もしやインテリをアピっているのか・・・
新入り
「結局どの台もいつかは出るわけじゃないですか? だったら移動するのも移動しないで出るまで打つのも、同じことなんじゃないですか」
うっ・・・
なんだ?
変な信念のようなものまで持っているぞ・・・
もしかしてこいつ、ミスター天井と呼ばれている男なのでは・・・
俺
「お前・・・それじゃ金がいくらあっても足りんだろ?」
新入り
「はい…今年は特に酷いです。 ダメってわかってても、台を変われないんですよね」
き、気づいてるのか・・・
新入り
「過去最高回数っていうのがデータにあるじゃないですか? ボク、あれを更新するつもりでいつも打ってるんですよ。 まだ一回も越えれたことないスけど。笑」
ジョ・・・
ジョルト・・・
これは必殺のパンチ、ジョルトだ・・・
全体重を乗せて、魂ごと打ち放つ必殺のパンチ・・・
失敗すれば、自分が破滅してしまう超危険なカウンター・・・
俺
「軍資金いつもどんくらいなんだ?」
新入り
「だいたい5万くらいです。」
北斗とバジで5万???
それってカマ掘られる終わり方する時もあるんじゃ・・・
俺
「でもまあ、刺さった時は太いだろうな」
新入り
「それが、今年まだ900円しか勝ってないんスよ」
俺
「すごいな! 勝ち越してんのか!」
新入り
「いえいえ。。。 今年の最高の勝ち額が、です。 ヤバイでしょ・・・」
へ・・・?
半年も打って900円のプラスでしか換金できてないってこと???
いや、ヤバイっていうか・・・
その金額に抑える方が難しいぞ・・・
俺
「そっか。 まあそのうちいいことあるよ(設定1ブン回し乙)」
っていう、何かにがんじがらめになっちゃってるロボットみたいなエキセントリック社員が入ってきたお話。
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