「あの・・・タカヤ君ですか?」
見知らぬ番号から僕の携帯へかかってきた電話に出てみたところ、こんな第一声を頂戴しました。
ちなみに僕は、タカヤ君ではありません。
相手は若そうな女性の声。
ほんの一瞬だけ「ロマンスへの発展演出か?」と胸躍ったのですが、タカヤ君を求めての電話である時点で可能性薄なので、諦めて普通にこう答えました。
「いや、違いますけど・・・」
これで終わると思いました。
だって間違い電話って、普通はここで「あ!すみません、間違えました・・・」ってなって終わるのがセオリーじゃないですか。
ところが・・・
「え・・・? タカヤ君ですよね?」
そのタカヤ君とやらに僕の声が似ていたのか、食い下がられてしまいました。
仕方がないので、普通に否定を続けます。
「いや、違いますよ。 もう一度番号を確かめてもらっ・・・」
「タカヤ君でしょ!?」
わりと強めに出られました。
思わず、自分こそが本当のタカヤ君だったんじゃないかと錯覚するくらいの威圧感のあるトーンで。
しかし我に返り、やっぱり自分はタカヤ君ではないことを再確認した後、もう一度冷静に否定します。
「いや、違いますって。 本当に違うんですよ。」
「・・・もういい!! さようなら!!」
ここで、ガチャン!と勢いよく切られてしまいました。
いや、まあ、スマホなんで実際に『ガチャン』とか聞こえないんですけど、聞こえた気がするほどの怒りが伝わってきまして。
うーん、僕は一体どうすればよかったのでしょうか・・・
いっそタカヤ君になりきって、愛の言葉でも囁いておけばよかったのでしょうか・・・
でも、残念ながらこの時は外出中で手元に角ハイボールが無かった為、そんな小粋なことができなかったんですよ。
角ハイボール350ml缶さえ近くにあれば、アイラブユーの一つや二つ、口走れることも可能だったでしょう。
500ml缶だったら、アイウォンチューもキスミーもどんと来いだったかもしれません。
・・・ええ、そうです。
英語力の乏しい僕なりに、知っている限りの愛の英語を並べただけです。。。
それにしても、あの電話はなんだったのか。
しばらく時間を置いてから、上記の出来事をもとに僕が推測したシナリオはこう。
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前々から恋焦がれていたタカヤの電話番号をなんとかゲットしたカオリ(仮名)は、勇気を出して電話してみた。
その電話にて「タカヤ君ってわりといいよね」的なジャブを打ちつつ、反応が良ければいっそコクっちゃお♪くらいの勢いだった。
ところが、勇気を出して電話したのに、愛しのタカヤはつれない態度で間違い電話を装おうとしている。
そう言えばなんか少し声が違うけど、きっと風邪でも引いたのだろう、だってこの番号はタカヤのなんだから、親友のマキ(仮名)が苦労してゲットしてきてくれたタカヤの番号なんだから、と思い込んでいるカオリは、そんなタカヤの態度に段々と怒りを覚えるようになる。
相変わらずすっとぼけ続けるタカヤの態度に我慢の限界を迎え、ついに電話をガチャギリ。
カオリの心には大きな穴がぽっかりと空いてしまった。
「もう、カオリの全部あげちゃうっ!」くらいに思ってた自分に腹が立って仕方が無かった。
客観的に見れば、もらってくれるかどうかはタカヤ次第なのに、カオリは既にあげた気になっていた。
カオリはやや自信過剰な女だった。
自分がせっかくあげると言っているものをもらわない男などいない。
そう信じ切っていた。
信じ切っていただけに、タカヤの裏切り(?)が許せなかった。
そしてカオリは思った。
「この心の穴を埋めるには、もう角ハイボールしかないわ。 それも500ml缶よ! 350ml缶なんかでこの悲しみを癒せるもんですか!」
こうしてカオリは、すぐさま近くのセブンへと走ったのだった。
タカヤへの想いを、角ハイと一緒に飲み込んでしまう為に・・・
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・・・いや、後半だいぶ無駄な暴走モードに突入してしまいましたが、、、
それにしても真相はどうだったのか。
実はただの連絡網的なものだった、とかもあるでしょうしね。
こういうのって、妙に気になりません?
僕だけですかね・・・?
以前に
歩き歯磨きを目撃した時とかもそうですが、ちょっと変わったことに遭遇すると、ついついあれこれと想像してしまうんですよね。
今後もこんな妄想編がちょくちょくお出ましになるかもしれませんが、どうぞひとつよろしくお願い致します。。。
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