投稿日 |
2016/3/3 |
投稿者 |
イオ さん |
年代 |
20代 |
性別 |
男性 |
職業/立場 |
その他 |
パチスロレベル |
初級者 |
あの子は問題児でした「南国育ち 1st vacation」 |
現代のホールで「萌えスロ」というジャンルが市民権を得て、今では萌えスロがシマに多く鎮座し、はたまたシマを占有している光景も珍しくなくなった。
過去から現在にかけて、メーカーが様々な萌えスロを開発してホールに登場した。
その中には、スロットユーザーからファンまでも魅了した台もたくさんあるだろう。
しかし、そんな中にも見た目や雰囲気に全く合わない問題点を抱えた萌えスロも登場してきた。
ゲーム性、スペック、液晶演出、等々、どうにも見過ごせない部分があった。
今回は、そこを今更に掘り下げていこうという趣旨でやっていきます。
個人的主観なのでご勘弁を。
今回は「キュインぱちすろ 南国育ち 1st vacation」。
本機はオリンピアが開発し、2012年10月に登場。
当時の背景としては、5号機AT機時代到来の引き金を引いたと言われる鉄拳デビルが既に登場していたが、まだホールの主力機としては、押忍!番長2や北斗世紀末、バシリスク2など、ART機が時代を牽引していた。
純増約2枚のART機も、もはや末期的となりつつあった頃に導入されたのだが、本機は過去の南国シリーズとは大きく異なるものがあり、それに対して期待よりも不安視される声が上がった。
「液晶演出の搭載」、そして「パトランプ非搭載」である。
液晶演出には、基本的に水着の女の子たちが活躍し、萌えスロとしての色合いが更に高まった。
反面、パトランプを搭載していないというのは、やはり批難される声の方が目立っていた。
時代は、液晶演出を搭載してて当たり前という背景だったので、そちらを優先し、かわりにコストを押さえる為か、演出を阻害しないようにするためか、パトランプを排除するという、ファンから見れば前代未聞と思えることをやってきたのだ。
スペックとしては、疑似ボーナス搭載型のART機。
ARTは1set50Gで純増は1Gあたり約2枚。
本機は基本的にゲーム数解除での当選、またはチャンスゾーン(以降CZ)でARTの当選を目指すシステム。
ゲーム数解除テーブルはモードと設定を参照して行い、通常モードAとモードB、天国モードと超天国モードの4種類がある。
ゲーム数解除が近づくと、前兆ステージを経由して当選する。
通常時はレア小役で高確移行抽選、CZの抽選を行っており、高確中はCZの抽選確率が上がる。
CZの中身としては、8G間のARTに突入し、蝶図柄揃いを引くことができればARTに当選。
残りのG数で再度、蝶揃いを引ければARTのゲーム数が加算される。
また、プレミア的なCZとして、超蝶モードを搭載。
こちらはART確定の上、8G間毎ゲーム上乗せが発生する、爆裂契機のひとつである。
ART中はレア小役でゲーム数上乗せと疑似ボーナスの抽選をしている。
疑似ボーナス中は主にレア小役でゲーム数上乗せの抽選。
疑似ボーナスは、BAR揃い、赤7、青7の3種類があり、青7ならば1G連確定、BARか赤7だと1G連の抽選を行う。
さらに、上乗せ特化ゾーンとして蝶ラッシュ(バタフラッシュ)を搭載。
ART中の蝶図柄揃いの一部で突入。
平均上乗せは約200Gにも及ぶ。
正直、字面だけで見ると当時の台と比較しても1G連のシステム以外は普通である。
CZも疑似ボーナスも特化ゾーンも、この頃には慣れている打ち手のほうが多かったであろうから。
しかし本機は、当時主流だった疑似ボーナス搭載型のART機とは違った方向でのゲーム性を有していた。
比較対象として、当時の人気機種である押忍!番長2を挙げると、この台は、通常からの頂RUSHや超番長ボーナスを例外として、基本的には、通常時に疑似ボーナスに当選→疑似ボーナス中に7を揃える→頂RUSHに当選といったゲームフローだった。
それに対して、本機のゲームフローは、通常時にARTに当選→レア小役で疑似ボーナスの抽選→疑似ボーナスに当選、といった真逆のものであった。
通常時は、フリーズ経由以外では疑似ボーナスを抽選していないので、まずはART当選を目指して打つ、といった方向性であった。
設定6の機械割は119%。
そして疑似ボーナスの1G連に当選しやすく、奇数連で終わりやすいという、南国シリーズならではの特徴を受け継ぎ、エクストラ設定としての役割を果たしていた。
パトランプが非搭載でも、そこはやはり南国シリーズ。
ファンたちにとっては、導入される前の期待とドキドキは大きかったのではないだろうか?
そして導入が始まった。
「南国育ちシリーズの続編」、「エクストラ設定と言われた設定6」、「魅力的なスペック」、人によって様々な期待を胸に秘めてこの台へと向かい、稼働スタート。
結果として、ホール関係者から南国ファン、ライトユーザー、幅広い人たちに愛された……なんてことは起きなかった。
大量導入、少数導入とホール間で台数に差はあれど、月日と共に稼働は低迷し、撤去が進んでいき、ついにはマイナー台のような扱いを受けてしまった。
う〜ん…やはりパトランプを搭載していない南国は受け入れられなかったということだったのか?
それもあっただろう。
4号機から5号機にかけてスロを打っている人たちにとって、南国のモチーフといえば、やはりパトランプだと思う。
中には蝶ランプ、または1G連だと言う人もいるかもしれないが、やはり、いの一番に声が上がるのはパトランプである。
それを切り捨てたというのは、やはりファンを裏切ったと捉えられても仕方のないことである。
また中には、「パトランプはありませんが、液晶にはパトランプが出てくるので安心してね♪」という、オリンピアからのメッセージ(?)を直感的に受け取ってしまい、それを遺憾に思った人もいるかもしれない。
しかし、そんなファンへの裏切り行為と見られた事すらも些細な事、と思わせるような大きな問題点があった。
というか、この台に腰を据えて、通常時からARTに至るまでのゲームフローをこなし、ある程度は打ったことある人ならば、一回くらいはこう思ったのではないだろうか?
「頼む…」
「お願いだから…」
「天国ループはもう勘弁してくれ!!」
……?
この台を打ったことない人からすれば、意味がわからないかもしれない。
天国ループに対してなぜ嫌悪感を抱くのか?
ARTが終了してしまった時の早い当たりを期待するものとして、さらにそこから出玉を上積みするチャンスとして天国モードは存在する。
それがループすることは本来、嬉々として受け入れるものではないだろうか?
その意見はもっともである。
しかしこの台に関して言うと、その天国モードのループはかなり悪い方向に働いてしまっていた。
この台の、通常モードから天国モードまで全てのゲーム数当選テーブルは、チャンスゾーンでの当選を含めると、約6〜7割ぐらいが128G以内で当選するのである。
天国モードのループ率は50%の上に、天国モード中にチャンスゾーンで当てれば次回も天国なので、まあ、納得の数値ではある。
ただひとつ問題として取り上げられたのが、上に128G以内と書いたが、実際には、128Gの「手前」に大きく集中していた。
つまりゲーム数解除で、100G以内での当たりの振り分けは少なかったので、早いと言われる当たりのほとんどは128G手前だったのである。
128G…
この台はコイン持ちも悪い方だったので、大体ここまで回すとなると、約200枚以上ものコインが必要になってくる。
とはいえ、この台には多彩な爆発契機がある。
ARTの出玉性能は高いものではなかったのか?
確かに、直乗せもあり、特化ゾーンもあり、疑似ボーナスもある。
当時の台としては、既に珍しくはなかったものの、それらが上手く絡んだ時の爆発力は素晴らしかった。
しかし、この台のARTで一撃を出す為のルートは、かなりハードルが高いものだらけだった。
この台の出玉を伸ばすルートとしては主に、ゲーム数の直乗せ、上乗せ特化ゾーン、疑似ボーナスの1G連と書いたが、ここにも障害となり得るものが沢山ある。
ゲーム数上乗せで頑張れるだろうか?
この台は強レア小役も結構重い上に、プレミア役と蝶揃い以外では上乗せ確定の役が存在しない。
ゲーム数の直乗せのみで増やすのには限界がある。
じゃあ、上乗せ特化ゾーンで伸ばすのか?
この台の上乗せ特化ゾーンはバタフラッシュのみで、突入確率がART中の約1/2000ぐらいなので、出玉を増やすメインルートとしてはあまり現実的ではない。
やはり、南国らしく1G連の(疑似)ボーナスの連装で増やしていくのか?
それが一撃を出すのに、一番絡んでくるパターンなのだが、ここにも罠があった。
ART中の疑似ボーナスは、レア小役を引いた時、またはARTのラストゲームで抽選しているのだが、合算確率が設定1〜6で、約1/236〜1/200である。
この数字を見て、「これならまあ、引けなくもない」と思うかもしれないが、次に乗り越えるべきハードルが1G連抽選だ。
単発で終わってしまえば、赤7でも約100枚獲得して、ARTに戻ってしまうのだから。
1G連抽選の確率なのだが、これが、設定6のみ約38%で、設定1〜5だと、22〜25%である。
つまり設定1だと、ART中の疑似ボーナスからの1G連突破率は約1/1000ぐらいとなっている。
もちろん、青7を引くか、疑似ボーナス中に蝶揃いを引くことができれば1G連確定なのだが、一発目の疑似ボーナスで、そうそう引けるものではない。
そして次に待っているのが、疑似ボーナスのループ。
設定6以外は約80%なのだが、2連、3連で終わってしまうこともあり得るし、そうなれば、また1からやり直しである。
「うん…」
「これは無理だ…」
「そんな、ご都合主義的なヒキは僕にはない…」
そんな哀愁がただよう境地に陥り、諦めてしまった者も多いのではないだろうか?
この3つのパターンどれかを頑張って伸ばしていくとしても、そのどれもが「薄いところを引く」といった根幹が根付いている以上、それをコンスタントにこなせ、というのは「無理ゲー」と揶揄されてしまうものだろう。
そして追い討ちをかけるように、この台は純増詐欺台としても有名だった。
私自身も、この台でARTのロング継続を経験したことがあるが、ゲーム数と獲得枚数を軽く計算しても、500枚以上足りないなんてことは日常茶飯事のように起きていた。
話をまとめると、大抵のARTは100枚以下の枚数で終わるか、少しゲーム数を上乗せして、それよりも少し多く取れるだけで終わる、というのがほとんど。
つまり、128G手前でART当選→約100枚で終了→残り出玉+追い銭で128G手前で当選→約100枚で終了→以下ループという、モンキーターンでも大好評(?)だった、通称「デスループモード」を搭載していたのである。
メーカーはこれを天国モードと呼ぶのだからスゴい!
そして液晶演出…
パチンコのCR南国育ち(ハワイ)を打ったことある人ならわかるかもしれない。
あの演出バランスをそのまま本機へと移植したような感じである。
わからない人のために捕捉しておくと、パチンコの南国ハワイは、あることで物議を醸した台なのだが、この問題点に付いた通称が「激熱ハズレ」である(そのまんま)。
ひとつ例を挙げるとすれば、一回の変動で、
疑似3連→激熱キャラのジョディ出現→激熱文字出現→演出のラストで期待度激高のスーパー南国チャンスに発展→ハズレ
といったことが珍しくないぐらいに起きるのである。
そして、パチスロである本機の方はというと…
通常時から前兆ステージへ移行→ステップアップ赤→特定の強い演出が頻発→本機最強演出の「ふたりの南国」に発展→ハズレと思いきや、ドキドキラストチャンスに発展→ハズレ
ということが、普通に起こりうる、まさしくカオスの祭典とも言えるような演出バランスの崩壊っぷりを見せてくれていたのである。
加えて、期待度の低い発展先に何もチャンスアップが絡まないパターンではまず当たることがないので、強めの演出の複合でいつか当たってくれることを祈る。
安心していいのは、確定演出が出たときだけ。
このような心境になりながら打っていた人は少なくないのではないだろうか?
パチンコではある程度は許されるかもしれないが、パチスロでこの演出バランスを受け入れる人は、私の知る限りでも極少数だったように思う。
そういった液晶演出クオリティに耐えながらも、通常モードでのハマりをくぐり抜け、ARTを射止めることに成功するも、単発100枚以下。
そして始まる、「通常時」と「128G手前でART当選」を繰り返す、お手玉のような死亡遊戯。
天国モードがループしているにも関わらず、徐々に追い銭をしながらARTを当てても単発100枚以下、そしてまた128Gを目指す過程を、一縷の希望にすがりながらも、死んだ魚のような目で打つ人が続出。
繰り返し言っておくが、彼らは天国にいるのである。
メーカーの方々には、天国とはどういったものなのかを、今一度よく考えてほしい。
そんな事を願った本機「キュインぱちすろ 南国育ち 1st vacation」。
あなたは大変、問題児でした。
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