| 投稿日 |
2016/5/16 |
| 投稿者 |
ソーイ さん |
| 年代 |
40代 |
| 性別 |
男性 |
| 職業/立場 |
サラリーマン |
| パチスロレベル |
初級者 |
うららかな春の朝。
いつものようにカフェでコーヒーを飲みながら紫煙をくゆらせ、お気に入りの本を読む。
小松和彦の民俗学の著書は良いね。
その論旨云々は別として、その論理が巧みで読み手を引き込む。
すっかり顔なじみになった女性の店員さんが「いつもありがとうございます」と声をかけてくれる。
眼鏡が魅力的な可愛らしい店員さんじゃないか。
彼女はきっと、「まぁこの人、いつもいつも本を読んでいて、なんて知的な人なのかしら。カッコイイ」と思っているに違いない。
そんな彼女は知る由もない。
僕がかつてパチスロの「勝負」に明け暮れていた事なんてね。
今ではすっかり勝負抜きでビーマひと筋になっているのだがね、そんな僕がついつい「勝負」を挑むことになるとは、自分でも意外だったよ。
この数日前、仕事帰りに例のガラッガラの店に行ってみると、あろうことかビーマには先客がいるじゃないか。
その台は僕の指定席なのに。
いや、そのビーマは僕の嫁なのに…。
ま、1ヶ月も嫁を放ったらかしといたのだからね、嫁に浮気をされても仕方がないか…。
そこで、近くの大型店に移動してみたのさ。
キンパル。
キンパルを打ってみたくなったのさ。
軽くデータを見ると、どうやら天国5スルーの140ゲーム。
じゃあそろそろ当たって天国に移行するんじゃないのかな？
いや、きっと一発で天国直行に決まっているさ。
座ってレバーを叩けばすぐに当たる筈さ。
あっという間さ。
500ゲーム、600ゲーム、叩けど叩けど当たらない。
いやいや、落ち着け落ち着け僕。
焦ったってどうなるものじゃない。
向こうで女性のお客が僕を見ている。
平静を装うのさ。
「まぁあの人、あんな情けないくらいハマってるのに、なんてクールなのかしら。カッコイイ」
そう思っている筈さ。
700ゲーム、800ゲーム、僕は拳にギュッと力を入れる。
ゲンコツに力を入れる。
いやいやいや君、誤解しないでくれたまえ。
「あぁぁぁぁ、台にパンチしたい」
なんて思っている筈ないじゃないか。
いやいやいや、僕がそんなマナー違反を犯す訳ないだろう。
向こうで女性のお客が僕を見ている。
平静を装うのさ。
「まぁあの人、あんなバッカみたいにハマってるのにパンチひとつしないなんて、なんて紳士なのかしら。カッコイイ」
そう思っているに違いない。
ほら見たまえ君。
カエルが出てきてゲコゲコっと鳴いたじゃないか。
1280ゲーム目にね。
何故か天国には移行しなかったがね。
「アッタマきた！」
なんて僕が思う筈がないだろう。
僕は紳士なのだよ。
沖トロのノーボーナス台。
打ち始めて300ゲームほどでハイビスカスがチカチカっと光ったじゃないか。
宵越し天井でね。
何故か天国には移行しなかったがね。
「ハイビスカスじゃなくて彼岸花にすればいいのに」
なんて僕が思う筈がないだろう。僕は紳士なのだよ。
GOGOジャグラーのレギュラー先行台。
3000円使っても何の反応もない。
「えーっと、何ゲームで天井だっけ」
なんて僕が思う筈がないだろう。
決して御乱心した訳じゃないよ。
4万円使って60枚程度の当たりが2回だけ。
よくよく考えてみれば、その2回の当たりも天井で当たっただけさ。
つまり、僕は一度も自力で当たりを引いていないじゃないか、1600ゲーム近くも回して…。
どこかでプチッと音が聞こえたような聞こえなかったような…
リベンジだ。
リベンジしなくちゃ男が廃る。
久しぶりに昂ぶってきたね。
実に久しぶりだよ。
予習はしっかりしてきた。
全台のデータをネットでチェックしておいた。
戦略もしっかり立ててきた。
「ありがとうございましたぁ」という可愛らしい声に送られて、僕はカフェを出た。
朝イチ。
4台あるキンパルのうち3台が前日最終が連チャン後の天国抜けで閉店。
この3台が据え置きなら宵越しの引き戻しモード狙い。
リセットならリセットで256ゲームまで回そうじゃないか。
幸い朝イチの客は少ない。
1台2台と打って、それぞれすぐに当たって32ゲームでヤメ。
3台目が見事に宵越し512ゲーム目で当たり。
やっぱり据え置き引き戻しモードだったようだね。
が、これも天国に移行しなかったよ。残念。
ま、こうなる事も想定して戦略を立ててあるのさ。
すかさず前日AT中に閉店になったガルパンを見に行く。
さっき他のお客が打っていたのだがね、程よく育っていてくれれば…と思っていたらちょうど当たったところ。残念。
ならばとすかさず前日ハマって閉店になった鬼武者3を見に行く。
少し育っていてくれれば据え置きでもリセットでも天井狙いで打てる…と思ったらまだ朝イチから70ゲームしか回っていない。
だったら、頃や良しとばかり沖ドキのシマへ。
沖ドキに限っては全台リセットっぽい雰囲気。
朝イチ即当たりの32ゲームスルーの台を探すと、まずまずの台が2台。
1台ずつ打つと、いきなりハマってしまったものの、どちらも一発で天国に移行して連チャン。
こういうのは気分が良いね。
「してやった」感がたまらない。
チバリヨの4日越しの計800ハマリ台がある。
どうせ据え置き放置さ。
いくらも稼働が無いのだから、こういう台は後回しで充分だと思っていたのだがね、やっぱり誰も打っていないのでこれはパス。
天井まで400ゲームほどだとしても据え置きなら通常AかB確定。
打つ価値ナシだね。
そろそろ良い頃合いかと思って沖トロへ。
ここもどうせ据え置き放置。
前日最終500ちょいハマリの台がノーボーナスで程よく育っている。
これが案の定、宵越し天井で当たるも32ゲームスルー。
隣の南国を打っていた御婦人がヤメた。
4スルー。
こっそりチラ見をした時にオリオン座を確認済みさ。
しかし170ゲームヤメ。
まだちょっと早いなぁ。
この前のキンパルみたいな事になるのも困るし、打たない方が無難かな。
今日はこれくらいで勘弁してやろうじゃないか。
ま、7000円マイナスで終わったのは残念だがね。
しかし…久しぶりだよ、この充実感。
ひと昔前は毎日のように味わっていた充実感さ。
勝負。
その為の戦略。
戦略を立てて勝負に挑む。
その勝負の後に立てる次なる戦略。
楽しかったなぁ、あの頃は。
が、いかんせん僕ももう若くはない。
もうそんなモチベーションを維持できないし、そもそも勝負に勝つという事を目標にしようとも思えなくなったね。
それが現実さ。
そしてもうひとつの現実。
いつまでも放ったらかしにはしておけない。
逆に僕の方が愛想を尽かされてしまうよ。
そう、嫁を迎えに行かないとね。
あのガラッガラの店に、ね。
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