投稿日 |
2015/1/18 |
投稿者 |
春川亭三七 さん |
年代 |
30代 |
性別 |
男性 |
職業/立場 |
サラリーマン |
パチスロレベル |
中級者 |
これは私の現上司がメーカー勤務時代に起きた、サービス課にいたころの苦情のお話。
メーカーのサービス課とは、販促用の筐体を準備したり営業用に資料を用意したりする部署で、基本的には販売の手助けをする部署。
ほかには、納品済みの筐体に不具合や不良(照明の不灯や外観のひび割れなど)があった場合、ホールからの要請を受け交換部品を準備し不具合箇所の修理や交換を担当する部署です。
基本的にはメーカー⇔ホールのやり取りのみでエンドユーザーである打ち手には基本的に非公開で非公表の部署。
そう、基本的には。
しかし、時は12〜13年前。
業界的に言えば、爆裂機ブームの頃。
ホールは遊技場というよりは紫煙くゆらす鉄火場上等の死亡遊技場。
打ち手は血眼になって、ハイリスクハイリターンという幻想を追い求めていた時代です。
ホールにもたくさんの嫌がらせや、「遠隔だろ!この野郎!」や、「ボーナス抽選してねえだろ!」など、いわれのない苦情が沢山寄せられていました。
そこであふれる苦情に対応できなくなったホールがとった手が、「メーカーのせいにすればいいんじゃね?」という安易な責任転嫁。
あまりにしつこい苦情に対しては、「じゃあお客さん、直接メーカーさんに文句言ってくださいよ」とばかりに勝手にサービス課の連絡先を教えてしまうわけです。
困ったのはメーカーサービス課。
「俺らはテレアポか!?」というほど、朝から苦情電話が殺到。
「10万負けたぞ!弁償しろ!」だの、「今から行って火つけるぞ!」だの、アグレッシブな方々が多数いたようです。
ええ、残念無念な方々です。
大体は言いたい放題言わせてただただ平謝り。
気が済めば、「ガシャン!」と電話を切られておしまい。
そんな不毛な業務が毎朝行われていました。
しかし、私の上司はドSというか面白がりというか、相手の気が済んだ頃に、
「また打ってくださいね」
と、相手の神経を逆撫でしてから会話を終わらせていたそうです。
「なんか一言言わないと心がもたない」ってくらい、当時はうっとうしかったそうです。
そんな面倒な業務だらけのある日。
サービス課に高卒で入ったばかりで、所謂まだ生娘のウブな女性社員が配属されました。
基本的には苦情電話を受けるばかりでピリピリしていた部署です。
特別、別嬪さんではなかったそうですが、日々の業務に辟易していたおじさま達には心のオアシス。
対応に苦慮しおろおろする様もまた可愛い。
重い荷物を持ってフラフラしていてもまた可愛い。
「いやいや助けなさいよ」というツッコミは置いといて。
そんな女子社員にほのぼのしていたある日。
一本の苦情電話を受けたのがその女子社員。
おそらく「鼻毛」というだけで顔真っ赤にしちゃうようなウブ子です。
そんな子が一本の苦情電話を受けてマニュアル通りの「平謝り」で対応します。
しかし、どうやらいつもと様子が違う。
罵詈雑言を浴びせられているかんじではない。
しかし、対応には苦慮している…。
どんなアグレッシブな苦情なのか…。
結論から言っちゃいますと、そのクレーマーは親子で打っていたそうです。
するとどうでしょう。
肌の弱い息子さんの顔の皮膚が、ポロポロと粉をふいてきたではありませんか。
どうやら夏場なんかに蛾とか虫とかを駆除する紫外線照射ランプが原因で、それの照射熱で、皮膚に炎症を起こして皮膚がやられてしまったそうです。
それをクレーマーさん、
「どうせお前んとこの台からなんか変な電波でも出ているからこうなったのだろう!? 慰謝料出せ!」
とクレームをつけてきたわけです。
さて、対応に困ったウブ子ちゃん。
散々言い尽くした平謝りも通用しません。
そもそもそんな電波出ているわけないし、出ていたら開発陣もエイジングをした作業者も皆肌ボロボロ。
そもそも、販売できるわけない。
でも、ウブ子ちゃんは困ります。
こんな客に対応したことないし、そもそもいろんな意味で経験値のないウブ子ちゃん。
もう、ちょっと泣きそうなウブ子ちゃん。
今こそ周りの大人に有り余る若さで甘えるがいい。
課長に泣きつけウブ子ちゃん。
あんまり、長々状況説明している暇はないぞ。
簡潔にシャープに苦情内容を上司に伝えるのだ。
行け!ウブ子!!
ウブ子 「課長。 打っててムスコさんの皮が剥けたそうなので、対応してもらっていいですか?」
課長 「・・・・・何がどうなったって?」
ドSの課長は見逃しません。
こんな甘い球。
もう一発、生娘のウブ子から吐き出させたい。
さぁ、セイ!アゲイン!!
ウブ子 「ですから、打っててムスコの皮が剥けたそうです!」
課長 「・・・・・(含み笑い)『よかったじゃねえか』って伝えといて。」
課長をはじめ、課の他の社員はほぼ全員肩を揺らす。
電話対応中の社員も何なら吹いちゃっている奴もいる始末。
課長も笑っちゃって電話とれない。
ウブ子はポカン…。
社員から説明を受けてようやく理解し、顔真っ赤のウブ子。
ひとしきりまた大笑い。
とれない電話。
やまない保留音…。
今日もサービス課の不毛な対応は続きます…。
(終わり)
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