強烈社員「高田(仮名)」 ---2009/9/7の日記--- |
昔録画して観ないままでいた番組たちを、最近になって観てたりするんですよ。
暇を見つけてはちょこちょこと、という感じで。
するとその中に、ダメ社員を叩きなおす、みたいな番組が混じっていました。
こういうのを観ると、ついつい思い出してしまう男が一人います。
ダメ社員と言われて僕が真っ先に思い出すのは、6年前くらいに勤めていたIT系の会社の後輩である高田(仮名)という男。
この男、妙にノリが良くて明るく、人当たりもよいのですが、IT系の会社だってのにパソコンの知識はほぼ皆無。
初対面で、「今までパソコンってほとんど触ったことないんですよー。 向いてないんですよねぇ。 あははー。」とか言われましたからね。
笑いながら言ってる場合じゃないだろう、と。
彼はなぜこの会社に入ってきたんだろう・・・・という疑問を感じつつも、まあ自分には関係ないしと呑気に構えていると、その日のうちに上司から
「高田を頼んだぞ」という残酷な言葉をぶつけられました。
最初冗談かと思ってあっはっはと笑っていたのですが、上司がビタイチ笑っていなかったところを見て覚悟を決めました。
こうしてやむなく高田の教育係に就任したわけですが、予想通りというかなんというか、これがまたいちいち仕事が進まないんですよ。
早速日々のルーチンワークについての説明なんかを始めると、説明の一つ一つにいちいち立ち止まる高田。
「デスクトップ上にあるエクセルファイルをこのフォルダにまとめておいて」と言うと、いきなり「デスクトップ」という単語にブロックされて先へ進めずに固まる。
「ん・・・・? デスク・・・・?」とかボソボソ呟いている状態。
マジか・・・・?とか思いつつも説明し、次にいこうとすると、やっぱりまた固まってる。
「えっと・・・・ エクセル・・・・?」みたいな。
こんな感じの日々が続いたものの、数週間ほど経ち、なんとか業務をこなせるようになってきた高田。
まだまだ問題は多いものの、ひとまずホッとしました。
そしてそんな矢先のこと。
仕事に慣れてきたということで、新たな仕事を割り振るためにいつものように高田の席にて説明をする僕。
説明中、開いて欲しいファイルがあったので、「●●ってファイルを開いて」と高田に告げると、彼は勢いよく「あ、それならここにしまってあります!」と返答しながらしれっと「ごみ箱」をダブルクリック。
「???」となってる僕を尻目に、開いたごみ箱内のファイルを指差し確認する高田。
そして、「ほら、ここにありました!」と得意げに僕に視線を送ってきます。
とまどいながらも、どういうことかと問い詰めると、どうやら彼の中では、
「ごみ箱とは比較的重要度の低いファイルをしまう場所」的な認識だった模様。
「ごみ箱にしまう」っていう妙な文章も、高田にとってはなんら違和感のない日本語らしい。
こんな認識ではいつか痛い目見るのは確実なので、「ごみ箱には捨てるファイルのみを入れておくんだよ」という
説明してるこっちが恥ずかしくなるような当たり前のことを言わされるハメに。
もしかしたら高田の奴、僕を辱めるためにわざとやっていたのかもしれません。
で、ごみ箱内は定期的に空にしておくように、とも告げておきました。
いつまでも不要ファイルがPC内に残っていくのは好ましくありませんからね。
すると高田、、、
「いやぁ、僕って貧乏性なんで、なかなか捨てられないんですよね〜、いろんな物が。」
そういう問題じゃない。
そうかと思えば、数日後にいきなりこんな質問をぶつけてくる高田。
「あのぉ、聞きたいことがあるんですけど、
逆にごみ箱自体を削除することってできないんですか?」
素人ならではのスーパートリッキーな質問。
その発想はなかったわ。
ってか「逆に」って何だよ。
大体、何が目的でごみ箱を削除したいと思ったのか。
仮にごみ箱自体を削除出来たとして、その後何かメリットがあるのか。
その全てが謎に包まれていますが、いろいろ聞いたところで高田クオリティな答えしか返ってこないだろうから、面倒なんで聞くのはやめときました。
その後、「ごみ箱にあるファイルは定期的に削除」という中学生レベルの技をようやくマスターした高田。
ごみ箱をフォルダとして使うこともやめ、「ちょっとパソコンがいじれる主婦レベル」に近いくらいには成長してきました。
逆に言えば、そこらにいるちょっとパソコンに詳しい主婦の方がまだまだ戦力になる、とも言えるのですが。
しかし安心したのも束の間。
事件は起こります。
ある日、ほんのり神妙な顔をしながら僕のもとへやってきて、こんなこと言い出す高田。
「あのぅ、ちょっとまずいことになったんですけど。」
「ど、どうしたの?」
「実はですね、
絶対に消しちゃいけないファイルを軒並み消してしまったんですけど、どうすればいいですか?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
やってくれます高田先生。
即座に5箇所くらいツッコむべきところを見つけたんですけど、まず言いたいのは、「ちょっとまずいことになった」の意味を知ってるのか、という部分。
絶対消しちゃいけないファイルを軒並み消すことが「ちょっとまずいこと」なら、「凄いまずいこと」だとどうなるんだろう。
「我が社が抱える全顧客のクレジットカード情報を添付したメールを、無差別に送信してしまったんですけどどうすればいいですか?」
・・・・・・・とか?
あながち高田ならありえない話ではないのが怖いところ。
結局、サーバー上の共有フォルダにバックアップがあったので助かりましたが、それがなかったら高田もろとも指導係の僕のクビまで危うかった事件でした。
そんな彼も、半年ほど在籍した後に自己都合で退職。
送別会にて、「この会社入るまでパソコンってほとんど触ったことなかったんですよー。 やっぱり向いてなかったみたいですねぇ。 あははー。」と言い残して去っていきました。
それ、入社時にも聞いたセリフなんだけどな。
・・・・・・・・以上、古い番組を観ながら、そんなことを思い出していた昼下がり。
高田、元気かな。。
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