許すまじ、サンダーV ---2006/1/20の日記--- |
あるところに、21歳の大学生男子がいた。
その青年は、来る日も来る日も
「サンダーV」という機種でしこたまヤラれ、気付けば財布も口座もスッカラカン。
「やばい、どうしよう・・・・ あと一週間分の食費くらいしか金が残ってない・・・・ 調子乗って突っ込みすぎたぜ・・・・ あんだけ好調だった台が、いきなりスコーンと1500Gもハマるとはな・・・・
こうして青年は、ついにバイト探しを余儀なくされた。
バイトの条件はもちろん「賄い付き」。
これがあれば、とりあえず生き長らえることはできる。
選んだバイト先は、一駅離れたところにある居酒屋「庄屋」。
大手チェーンなので、ご存知の方も多いだろう。
注文を受けた店員が必ず
「ハイ!喜んで〜♪」と叫ぶお茶目な居酒屋だ。
面接を受けると、とりあえず即日採用。
一安心で帰ろうとする青年に対し、
「今からちょっと働いてってもらえるか?」
という、どんだけ人いねーんだよとちょっと不安になってしまう要請をしてくる店長。
採用直後に断るのもなんだか気がひけるので、仕方なく承諾する青年。
軽い業務の説明を受けた後、早速現場へと駆り出された。
やはり現場は熱気が違う。
オープン直後から飛び交うあの庄屋特有の掛け声、「ハイ!喜んで〜♪」。
当然青年にもその義務は課される。
しかし、言えない・・・・・・
どうやら恥ずかしいようだ・・・・・・・・・
そりゃあそうだ。
人間、嬉しくもねーのに満面の笑みで「喜んで♪」となどなかなか言えるものではない。
まあ、仕事なんだからそんなワガママ言ってる場合じゃないのだが。
しかし、青年は思う。
「やっべー・・・・・ 間違ったトコ入っちゃったなぁ・・・・・・ あのくらい楽勝で言えると思ってたけど、案外壁たけーな、あの『喜んで♪』ってのは。 辞めたいなぁ・・・・・・・ でも初日で『辞めさせてください』って言うのもなんか悪いなぁ・・・・・・・・」
そんなことを考えながら時間は過ぎていく。
そして、バイト開始から2時間ほど経った頃だろうか。
突然店長がフロアに登場し、その青年を呼び寄せた。
どうやら、他の店員からチクリが入ったらしい。
「あの新人、何度言ってもあの掛け声を言おうとしない」みたいな。
二人で先ほど面接した一室へ。
店長 「どうしたんだキミ?
全然声出してないらしいじゃないか?」
部活かよ!と、軽く心で突っ込んだ後、おそるおそる口を開く青年。
青年 「 あのぅ・・・・・ 俺・・・・・・・・ どうやらこのバイト無理みたいっす。 皆みたいにできないっす。」
店長 「 そうか・・・・・ まぁ、最初は皆そうなんだよ。 慣れれば平気だと思うんだがなぁ・・・・・・」
青年 「 いえ、俺ってそういう部分が欠けてる人間なんス。 思ってもないこと口にできないっす。 自分に正直なんス。」
店長 「
い、いや、仕事なんだし・・・・・・ 自分に正直とかそういう問題じゃ・・・・・・・・」
明らかに
欠陥人間を見つめるような視線の店長。
しばらく気まずい沈黙が流れる。
ややあって、店長が思いつめたように口を開く。
店長 「わかった。 じゃあ・・・・・・ 悪いんだけども・・・・・・・ キミ、今日で辞めてくれるか・・・・・・?」
その時だった。
青年 「ハイ! 喜んでッ!!」
この時の「ハイ!喜んで♪」は、庄屋の社員すらも遠く及ばないほどの歯切れ良いものだったという・・・・・・・・
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以上、僕の7、8年前の実際の体験談でした。。
まあ、さすがに細部はちょっと変えてますが・・・・・
「青年」ってのは、当然ワタクシ、クランキーのことでございます。
まったく、なんつーバカ丸出しな理由で辞めてんだ・・・・・・
今でもちょくちょく庄屋を(もちろん客として)利用するのですが、
あの掛け声を聞くたびにこう思うのです。
「サンダーVの野郎・・・・・・・・・・・・」 (←え!? そっち!?)
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