台を無事確保し、遊戯開始。
貸し出しボタンを押す手が震える。
MAX BETボタンを祈りを込めて押すように、貸し出しボタンまで祈りを込めて押していた。
しかし、1人目の諭吉さんは一瞬で消えてしまった。
改めて感じた。
怖い世界だと。
だがもう進むしかない。
再び諭吉さん投入。
ヘルゾーンこそ3回入ったものの、あっけなくスルー。
諭吉さん2人目もいなくなってしまった。
あと5千円入れたとこでなにか起きるか?
これだけ持ってもう帰ろうか?
そんなことは一瞬たりとも考えていない。
樋口さん投入。
周りの台は初当たり良好。
読みは間違っていないんだ。
千円…
二千円…
三千円…
そりゃなんも起きないよ。
ただ、もう戻れない。
底なし沼につかっているのは分かっている。
ただ、今さら後戻りしてももう岸まではたどりつけない。
だったら進んで奇跡を信じるしかない。
四千円…
五千円…
もう今さら焦りもなにもない。
残り数十枚となったメダルで遊戯をしながら、タバコをポケットに入れ帰り支度をしていた。
そして残り数枚になったところで、鎖が出現。
第三停止まで残り、ヘルゾーン突入。
しかも赤!
まだ望みが!と思ったが、ここで嫌な汗をかく。
もう6枚のメダルしか残されていない。
止め際のレア役には何十回何百回と踊らされてきたが、ここでのヘルゾーンはさすがに期待してしまう。
しかし、回せるのは2ゲーム。
2ゲーム目に当たったとしても、もはや回せない。
とりあえず席を立ち考える。
我が家の口座に手を出すか?
いや、それは絶対しないと結婚当初から決めている。
隣の人に事情を説明して数枚借りるか?
いやっ、当たらなかったら返せない。
じゃあ捨てて帰るか?
その選択肢は絶対ない。
じゃあどうする。
たかがヘルゾーンの画面を残して離席してるのも恥ずかしい。
小銭を足して野口さんにでもならないかと財布を開ける。
ここで圧倒的光景が…。
目に入ったのは、昔作ったマイホのカード。
今こそ怖くて作れないが、結婚前に作った会員カード。
確か貯メダルがあった気がする。
基本換金する私だが、打ってるとき急遽嫁が帰ってくると連絡を受け、数十枚カードに入れて急いで帰った覚えがある。
席に戻り、恐る恐る会員カードを差し込む。
現れた文字は「73」。
今の私には十分すぎる枚数である。
当たらなくてもいい。
この赤ヘルさえ無事消化できれば思い残すことはない。
4G回すもなにも起こらない。
そりゃそう。
そういう流れではない。
しかし5G目。
「ボタンを押せ。」
押すと、画面には四角いPUSHボタン。
…もらった。
PUSHボタンを押し、見事に図柄が三つ揃う。
大げさではなく、生涯一番嬉しい当たりだったと思う。
出てきたのは安定の犬。
80Gスタート。
犬にしては上出来。
回すこと数ゲーム。
目の前には扉が。
天空の扉。
あまり強いものをもらった経験はないが、さっきまで小銭を集めて札にしようとしていた人間からすると、こんなチャンスを得れただけで嬉しい。
もう何も狙わない。
何も望まない。
無心で3つのボタンを高速で押す。
0コンマ何秒の世界だと思う。
中リールを離した瞬間に目に入っていた。
中段にGODが二つ並んでいるところが。
たかがGOD。
されどGOD。
もう何度目のGODかわからない。
ただ、ここまで神々しく見えたのは初めてだ。
あとは壊すだけ。
今の状態は、投資分が回収できればとかそんなレベルじゃない。
ぶっ壊れてくれ…。
結果から言おう。
交換、8800枚。
…ぶっ壊れてくれた。
札無しからの大逆転である。
なんとか生き延びた…。
といっても、これだけではただの延命にすぎない。
まだまだ足りない。
ただ、間違いなく一つ言えること。
『これだからパチスロは止められない』
未承認スロッターにとって、お金と時間を作るのは至難の技。
その中で、いかに自分の趣味を楽しむか。
そして趣味を継続させられるか。
それを全て可能にするためには「勝つ」しかないのですよね。
頑張ります。
未承認の同志たちも共に頑張ろう。
では、今回はこの辺で。
ソゲキングでした。
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