後日、後輩と一緒に打ちに行った。
私は久しぶりにホールに入ったため、テンションだだ上がり。
とりあえず店内を一周した。
やはり5スロよりも20スロの方が熱気があり、一応ギャンブラーである私は完全に勝負をしたくなっていた…。
そして後輩に一言。
「金貸して♪」
THE・クズである。
その言葉で後輩は満面の笑みになり、
「そうこなくっちゃー! いくらいります? とりあえず3くらいっすか?」
そして、私は後輩から3借りて打つことにした。
THE・クズである。
何を打つか迷っていると後輩が、
「この店は凱旋っすよ、凱旋。 絶対凱旋!」
私は言われるがまま凱旋に座った。
毎日打っていると、ホール内では金銭感覚が外の世界の十分の一くらいになってしまうが、久しぶりに打つ私は貸出ボタンを押すたびとても怖かった。
しかし、貸出ボタンを押すこと20回。
なにも起きない。
さて、困った。
前回の記事で、人生もパチスロも押すことより引くことの方が大事だと偉そうに語らせていただいたが、完全に引けない状況になってしまった。
もう行くしかない。
そして、貸出ボタンを計30回押したそのとき、画面には……
「左から押してください」
……とは出ず、なにもなく終わった。
もう今日はダメだなぁ…。
帰ろっかなぁ…。
そして、凱旋で順調にメダルを吐き出している後輩の元に向かい一言だけ言った。
「金貸して♪」
THE・クズである。
後輩は爆笑。
「いいペースですねぇ笑。 とりあえず3でいいっすか?」
私は、あれだけ拒んでいた後輩からの借金を二度もしてしまった。
しかし、もう戻れない。
そして席に戻り、深呼吸をして再開した。
打ち始めたが、途中からは出てくれって気持ちよりも、どうやって後輩に金を返すかばかり考えていた。
給料が出たところで、数万の余裕なんて一切ない。
ただ、後輩にずっと借りているのも情けなすぎる。
金貸している先輩から仕事のことでとやかく言われるのも嫌だろう。
よしっ。
今日の帰りにキャッシングしよう。
後輩にはすぐに返そう。
後輩に借りているより、銀行に借りる方がどれだけ気持ちが楽か。
借金なんて久しぶりだなぁ。
そんなことを考えながら、貸出ボタンを押すこと46回目。
画面には……
「左から押してください」
……と、出た!!!!
今までで一番嬉しい、左から押してください。
昔、大好きだったあの子から好きだよって言われたときより嬉しかった、左から押してください。
手相の占い師に、織田信長と手相が似ていると言われたときより嬉しかった、左から押してください。
最寄駅構内にマックができたときより嬉しかった左から押してください。
先日、先輩のおごりで行った○俗嬢の見た目もテクニックも絶品だった時より嬉しk…
…ん、これはそん時のが嬉しかったな。
まぁ、ほんとにかなり嬉しかった左から押してください。
結果、2300枚でチャラ!
いける…!
もうこうなれば後輩に返すとかの話じゃない。
目指す高みはその先だ。
山ほど出して、夜の店で山ほど出す!
しかし、そんな思いも虚しく結果は2400枚。
悔しい……
が、まくったっ!
ここで終わればめでたしめでたしだが、話はここで終わらない。
後輩はプラス2000枚でご満悦。
私も窮地から生還したのでご満悦。
とりあえず後輩にお金は全て返せて、財布の中身は朝とほぼ同じ。
あー良かったと安堵しているところに、後輩の言葉。
「○俗行かないっすか?」
私は言ってやった。
「おれは多少出たけど、全く勝ってねーんだよ。 だから行く金はない。 確かに左から押したときは今日行ける!って思ったけどさ。」
後輩はしょげた顔。
「分かりましたよー。 一人で行ってきますよー。」
ごめんよ、後輩。
既婚者は色々大変なのよ。
あー、本当はおれも行きたいなぁ…。
そして、最後に後輩に向かってこう言った。
「金貸して♪」
THE・クズである。
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