[3]出禁物語ファイナル 〜ビタ、追い出される〜 [ 2014/8/5 ] |
その三人組と目が合うと、明らかに敵対心のある目で私を睨んできます。
私は心当たりが全くありませんでしたので、知らん顔していました。
それが火に油を注いだのかは分かりませんが、どんどんエスカレートしていき、約1時間毎に入れ替わりで私のイスにぶつかってきます。
挙句の果てには、コインを箱に移そうとした瞬間を狙って『ドンッ』。
床に散らばったコインにトドメとばかりに蹴りを入れさらにバラバラに…。
この時はさすがに腹が立ち、その人物を睨んだのですが、彼は「フッ」と薄ら笑いを浮かべ去って行きました。
私は一言文句を言おうと後を追いかけようとしたのですが、散らばったコインを一緒に拾ってくれていた店員が私を制止しました。
その店員は、他の店員に「主任」と呼ばれていました。
主任は、「今日も良く出てますね。」と笑顔で私に言います。
私 「はぁ、まぁそうですね。」
主任 「今日は少し足りませんが、交換なさいますか?」
私 「??? 足りない? 何がですか?」
主任 「いえ、何でもないです。」
私 「今日はもう帰ります。 (コインを)流して下さい。」
主任 「分かりました。」
と会話をし、この日は一旦帰宅ました。
もちろん、閉店間際に翌日の『仕込み』は怠りません。
明けて翌日、この日はなぜか例の三人組がイスにぶつかってくる事はなく、順調にコインを増やして行き、何事も無くノルマ達成。
コインを流し景品と交換、換金を済まし帰ろうとすると、例の三人組が近づいて来て、その中のリーダーらしき男性が私に話かけてきます。
男性 「今日も出してるな?」
私 「……はぁ、まぁ。」
男性 「毎日だいぶ勝ってるやろ?」
私 「そうでも無いですよ。」
男性 「あんまり調子に乗ってるとシバくぞ(注)」
(注)シバく=ここでは痛めつけると言う意味。
主に関西地方で使われており、相手を脅す時に良く使われる。
同じく関西地方でナンパをする時に良く使われる「ね〜ちゃん、茶ぁシバきに行けへん?」とは使い方が異なる。
〜Vitapediaより抜粋〜
この時はさすがに身の危険を感じました。
ケンカでは無敗を誇る私でも、さすがに3対1では分が悪すぎます。
3人に囲まれていましたので、私の必殺技『逃げる』が難しい状況でしたので。
私 「別に調子になんか乗ってませんよ。」
男性 「あぁぁん?」
と、顔を近づけ私を睨みつけます。
私は開き直り、
私 「殴るのならどうぞ。 けど僕に指一本でも触れればすぐさま警察へ駆け込みますので。」
するとその男性はしばらく沈黙した後、「チッ!」と舌打ちし、何もせずに去って行きました。
さらにその翌日、昨日の私の一言が効いたのか、何事もなく時間が過ぎて行きます。
この日私は所用があり、ノルマに達する事ができずに時間切れ。
仕方なしにコインを流そうとすると、主任がやってきて「私が流します」と箱を運んでくれました。
当時は大量のコインや出玉を流す以外は全てセルフサービスで、店員はその作業に不審な所がないか見ているだけで、店員が箱を運ぶ事は非常に珍しい事だったのです。
しかも、換金作業までしてくれて、「どうぞ、ご確認下さい。」と私に換金したお金を渡します。
その時私は、「もしかして、この後ちょっと事務所へ…、なんて事に…。」と思いましたが、まるで心当たりがありません。
案の定主任は「ちょっと宜しいですか?」と尋ねてきます。
私 「はぁ、何でしょう?」
と答えるも、「来た!事務所行きか?」と身構えました。
すると主任は、事務所では無く、換金所から少し離れた人目の少ない駐車場の端に私を誘導し話かけます。
主任 「実は、お客様(私の事です)が『サクラ』をしているのではないかと、一部のお客様から声が挙がっていまして…。」
私 「はぁ? 『サクラ』?? 僕がですか???」
主任 「もちろんそのお客様には、当店は『サクラ』なんて使っていないと説明しましたが、お客様(私)が挙がってきましたので…。」
その時私はピーンときました。
私 「もしかして、あの三人組ですか?」
との質問には主任は答えず、
主任 「お客様(私)が毎日チェックを欠かさず、長い目で見て、自分で設けた一日の上限以上は出さない様にしているのは承知しておりました。」
私 「えっ! そうなんですか?」
この時私は驚愕しました。
店が全ての客の勝ち負けを把握しているとはとても思えません。
しかし、私に関してだけは、店側は全て把握していたらしいのです。
まさに店側としては都合の良い『サクラ』だったのでしょう。
クセを読まれても放置していた理由と、先日主任が「少し足りない」と言った謎が全て解け、私は少し怖くなりました。
主任 「えぇ、しかしその様な声が挙がった以上、お客様(私)には当店でのご遊戯をご遠慮願うしか無い訳でして…。」
私 「えっ? ちょっと待って下さい、それって出禁って事ですか?」
主任 「申し訳ありません…。」
私 「おかしいんじゃないですか? 出禁になるならあの三人組の方じゃありませんか? マナーが悪いのは主任さんも知ってますよね?」
と私が食い下がると、私の耳元に口を近づけ小声で言います。
主任 「ここだけの話ですが、あの三人組のどなたかが店長と知り合いらしくて…。」
私 「……そうなんですか?」
主任 「申し訳ございません…。」
私 「……仕方ないですね。」
その時は、こんな理不尽な事が許されて良いのかと思い、例の三人組に対する怒りで体がブルブルと震えました。
しかし、ここは一番イヤな役目を任された主任の顔を立て、その日を最後にその店に訪れる事はしませんでした。
その後、私は無事就職先が見つかり現在に至っております。
あれから15年が経った今、私は『勝ち』にこだわるパチスロから『楽しむ』事に重きを置くスタイルに変えました。
そして、ここまで長々と書いてきましたが、重大な事に気が付きました。
それは、アニキから(勝手に)受け継いだ(つもりでいる)決め台詞(未承認)。
「パチンコ屋って、健全になったなあ」を書ける流れでは無いって事に。(汗)
以上、私が最後に出禁になったお話でした。
【次回予告】
次回はリクエストランキング4位に輝いたお話をお送りする予定です。
皆様は神を信じますか?
次回、『稼働日記』(←タイトル未定)
どうぞお楽しみに。
〜追伸〜
遅くなりましたが、SevenStars氏ご結婚おめでとうございます。
今はもうヤメましたが、私も昔は『セッター』(←SevenStarsの事です)吸っていました。
『セッター』吸うと他の煙草は吸えないですよね(^_^)/~
私だけかもしれませんが、同期の「読者ライター」の方々に対し、妙に親近感が湧くんですよね。
「同じ釜の飯を食った仲間」とでも申しましょうか。(笑)
いつの日か、Jr.のご報告がある事を楽しみにして待っています。
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