[2]出禁物語V 〜ビタ、人生最大のピンチ〜 [ 2014/6/26 ] |
ある日、私は自宅から少し離れた、初めての店に行きました。
そこには『ワイルドキャッツ』が設置されていたのですが、どこを探しても張り紙が見つかりません。
打っている客は数人いましたが、その中のこれまた香ばしい方が店員の目を盗んで攻略法を駆使しています。
私もその方より少し離れた場所に着席し、目立たない様にとまずは普通にプレイ。
コインが少なくなった所で攻略法を使用し、ある程度増えた所で通常プレイに戻すという方法をとっておりました。
その後、順調にコインを増やし1000枚程獲得した頃でしょうか。
私の肩を「ポンポン」と。
振り返るとそこには店員が立っていて、「ちょっと来て下さい。」と、言われます。
私は「マズイ!」と、思いましたが時すでに遅し。
ついて行くと、案の定事務所へ連れていかれます。
中へ入ると、本当に事務所?と思われる汚さ。
一応、応接セットらしき物はあるのですが、ソファーには店員の着替えたであろう服や、毛布が無造作に置かれ、テーブルには食べた後のカップラーメンの容器等が散らかっていたり、事務机らしき物には、モノクロで解像度の低いモニターがポツンと1台のみ店内の様子を写しだしています。
事務所には店長(♂)らしき人物一人のみです。
そして店長は、私を連れてきた店員に「もうえ〜ぞ、仕事にもどっとけ。」と言い、店員は事務所を出ていきました。
後に人生最大のピンチが訪れようとは、この時は思いもしませんでした。
しかしこの店長、今までとは違い見た目はごく普通の50歳代と思われる方。
見た目通りごく普通の口調で私に問いかけます。
店長 「ゴトやってへんか?」
私 「……やってません。」
店長 「なんか(道具)使ってへんか?」
私 「??? 使って無いですよ。」
店長 「ホンマやな?」
私 「…は、はい。」
店長 「ほな、ボディーチェックさせてもらってもえ〜な。」
この時私はイヤな予感がしました。
もしかして予め持っていた道具を、ボディーチェックの際、私に紛れ込ませて難癖つけられ、警察沙汰にでもされたらどうしようなどとビクビクしていましたが、断るとさらに難癖つけられそうなので渋々了承しました。
店長 「じゃ、まずポケットの中身全部出してんか。」
私は言われるままにポケットの中身を全て出しました。
全てと言っても、サイフと車の鍵とタバコとライターのみです。(当時は携帯電話なる物は普及していませんでした)
もちろん怪しい物ではありませんので、店長も軽くチェックしただけです。
次に店長が、「バンザイしてんか。」と言ってきましたので、言われるがままにバンザイすると、私の腕、わき腹、背中、お腹、最後に胸をポンポンと。
特に胸のあたりはポケットもありますので、ポケットの内側に手を突っ込んだりと、入念に調べていました。
もちろん何もありません。
次に店長が、「軽く足開いてんか。」と、言ってきましたので再び言われるがままに。
まず、右の足首から膝のあたりまでポンポンと、次いで同じ様に左足をポンポンとし、そのまま太ももまでポンポンと。
この時店長は下を向いていたため、表情は分かりませんでしたが、なにやら少し息が乱れている様子。
その時私は、「何も出て来ないからイラついてんのかな?」などと考えていました。
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