機械割。
それは、実際に稼動した時にどれくらい勝てるか、または負けるかの指標となる数値。
この機械割、当たり前の存在でありながら、時に初心者さんを惑わす魔性の存在であったりもします。
まず、機械割関連でしっかりと把握しておいていただきたい基本的かつ重要な事項は以下の二点。
@「100%を超えていればそれでいい」などと考えない
A機械割以上に出たからといってヤメない
この二点について誤解している初心者さんが多く、「100%を超えてるんだから打ち続けていいじゃん!」
「機械割以上出ちゃったらそこからはハマるんでしょ?」という間違った解釈をしている場合があります。
まずは@の誤解について。
例えば、機械割が101%だった場合。
この場合に、「100%を超えてるってことは打ち続ければプラスになるってことでしょ?」と捉える人がいます。
確かに正しい認識です。
打ち続ければ、いつかはプラスになると思われます。
しかし、問題はその「いつかはプラスになる」の「いつか」。
この「いつか」はいつ訪れるのでしょうか。
プラスになるかどうかの境界線付近の数値では、「いつか」が訪れるのがいつになるのか検討もつきません。
そして、仮にプラスになったところで微々たるもの。
不運な一撃で一気にマイナス域へ転落します。
ですので、「100%を超えていれば打ち続けていいんだ」ということではないのです。
機械割が高ければ高いほど「いつか」が来るのが早まるので、101%より102%、103%より104%と、より高い機械割を目指していく姿勢が重要となります。
機械割を意識して稼動する場合、「100%を超えていればそれでいい」と考えるのではなく、ある程度幅を見て考慮するようにしてください。
幅は、個人個人の裁量で自由です。
105%を最低ラインとするか、108%を最低ラインとするか、など。
個人的には、短時間稼動なら110%ほど、中・長時間稼動なら107%ほどが最低ラインだと考えています。
さて、さんざん苦言を呈してきましたが、「100%を超えていれば打ち続けていい」という考え方は、逆に言えば「100%を超えている台なら頑張って打ち続ける」ということにも繋がりますので、百歩譲って考えれば「ギリギリセーフな姿勢」とも言えます。
やや問題はあれど、機械割を信じて打ち込むという姿勢はできているのですから。
@の誤解についてはさほど致命的ではありません。
問題なのはAの方。
こちらは是非とも正さなければいけない誤解です。
これについては、まず僕の経験談からご覧ください。
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確か8年くらい前のことだったと思います。
友人と二人で、あるホールのイベントに朝から打ちにいこうということになりました。
ちなみにこの友人は、「パチスロで勝つ為の立ち回り・考え方」というのがだんだんとわかってきている状態。
つまり、ようやく「初心者」を抜け出し「初級者」に到達したあたり。
開店前から並び、何を打とうかと二人でいろいろ話し合った結果、イベント内容などからデカドンを選択することに。
ドンちゃん2という機種がハイスペックになったような機種、それがデカドン。
設定6を掴めれば、万枚など当たり前のように出るくらい破壊力のある機種です。
そして、並びながら打つ機種を二人で検討している最中、友人の方から「どうせならノリ打ちでいこうか」という話が持ちかけられました。
アツそうなイベントだったし、お互いの挙動に一喜一憂して楽しむのもアリだと思い、この申し出を快諾する僕。
そしていざ開店。
二人して無事デカドンを確保。
意気揚々と回し始めるも、どうやら僕の台はダメだったようで一向に出る気配なし。
が、対する友人の方は、周囲から惜しみなく敵意を頂戴するほどのロケットスタート。
みるみる出玉が増えていきます。
開店から4時間ほどが経過。
僕はそうそうにデカドンを諦め違う機種へ、そして友人の台はというと依然順調に出玉を増やしています。
昼過ぎにして既に3000〜4000枚くらい。
と、ここでゲリラ設定発表。
すると、順調に出ている友人の台には設定5確定札が。
6と言われても納得できる勢いだったため、少々期待ハズレですが、それでも等価のデカドンで5なら充分。
はっきりと機械割は覚えていませんが、フル攻略なら120%以上は余裕であったかと思います。
「ノリ打ちさせていただけて良かった♪」と心の中で思わずへりくだってしまうほど立場は逆転。
こうなったら少しでもお役に立とうと、ホームランではなく小刻みなヒット狙いの立ち回りに切り替え、地味に打ちまわることにした僕。
ホームランは彼に任せればいい、と。。。
ところがこの男ときたら、、、
フラリと僕のところへ来て、いきなり以下のようなことを言い出したのです。
「あのさ、もうあの台ヤメようかと思うんだけど。」
一瞬、笑いにでも走ってるのかと思いました。。
激しいツッコミでも欲しいのかと思いました。。
誰もが羨むデカドンの5を、なぜいきなり放棄しようとするのか・・・・・
お前はなんのために開店前から必死こいて並んだんだ、と・・・・・・
ヤメたい理由を聞いてみると、彼はおもむろに雑誌の切り抜きを取り出し、こう言いました。
「ほら、この解析情報からすると、既に機械割以上に出ちゃってるんだよね。 しかも大幅に。
ってことは、ここからハマる可能性が高くなるじゃん?」
この友人とはそこそこ親しい付き合いをしていたつもりでしたが、スロの立ち回りについて真剣に話し合ったりまではしていなかったことが裏目に出ました。
まさかこんなところで引っ掛かっているとは・・・・・
当然、すぐさま説明にかかります。
完全確率だから「これからハマる」などというタイミングなどないこと。
機械割はあくまで目安で、必ずしもピタリと機械割通りになるものではないこと。
そして機械割は「払い出し率」のことなので、例えば機械割が120%だとしたら「今後も120%の払い出しが受けられますよ」ということを示唆しているのだからヤメるべきではない、ということ。
こういったことを、あの手この手で解説しました。
勝つ為の立ち回り・知識を完全にマスターしている人なら説明するまでもないし、全くわかっていない人なら素直に受け止めてもらえるのですが、、、、
一番厄介なのがこの中間に位置する人。
つまり、多少立ち回りを知っている、というパターン。
変に軽く知っているだけに、自分の考えに自信を持ってしまっている場合があるのです。
この時もその典型で、「ふーん・・・・・ そうかなぁ・・・・・・・・」とわかったようなわからないような生返事しか返ってきませんでした。
でも、僕が強く「ヤメるな!」と主張したことにより、なんとなく流されて再び稼動に戻った友人。
大丈夫か・・・?とやや不安はあったものの、力いっぱい説得したつもりだし、まあわかってくれただろうと僕も自分の台の稼動に戻りました。
しかしその30分後、恐れていたことが起こります・・・・・・・
「やっぱりハマりだしたし、ヤメることにしたよ。 まだ出てない高設定を打った方が機械割的にも有利だし。」
やっぱりわかってなかった・・・・・・
機械割というものを完全に間違って解釈してる・・・・・・・・・
落ち込む僕を尻目に、3000枚弱ほどのレシートを自慢げに手にしている友人。
ノリ打ちなので、デカドンの設定5クラスをサクっと捨てられてしまったのはかなりの痛手。
慌てて捨てられたデカドンの5を拾いにいくも、当然他の客にゲットされていました。
思わず友人に詰め寄る僕。
「ヤメる前に一言言ってくれよ! ヤメたいならそれでいいけど、俺が打てばデカドンの5が無駄にならなかっただろ!?」
しかし、彼は悪びれもせず・・・・
「いや、無駄な投資になるだけだって。 もう圧倒的に機械割以上出ちゃってるんだから、これからはハマリ続けるだけだよ。」
これは口で言ってもわからないな、と思い、とりあえずこの場はいろいろ説明することを控えました。
済んでしまったことは仕方が無いので、そのままダラダラといろいろな台で稼動した後、夕方頃から二人で飲みにいき、閉店時間前まで待ちます。
そして閉店前。
状況確認の為に再びホールへ訪れてみると、案の定、例のデカドンには「8000枚突破!」という札がブッスリと刺さっていて、打ち手の頭上・足元にはドル箱の山。
さすがにこの友人も愕然とし、「嘘でしょ・・・・・」と絶句してました。
ここで僕は、「ハイスペック機の高設定を掴んだらあとは何も考えずに回せばいいだけ」「機械割について誤解しているとこうなってしまう」というようなことを改めて説明。
はっきりと結果を見たことにより、彼も反論の余地はなかったらしく、素直に「ごめん・・・・ やっぱりスロ歴の長い人間の言うことは聞くべきなんだね。」とわかってくれました。
まあ、しまいには「俺、もっと詳しくなるためにパチ屋でバイトするよ!」とか言い出したことには驚きを隠せませんでしたが。 発想が両極端なんだよなぁ、この男・・・・・・・
ちなみに、その後も何度かこの彼と打ちにいったのですが、以前のような中途半端な立ち回りをすることはなくなっていました。
逃した出玉は大きいですが、良い勉強にはなったんだと思います。
まあ、ノリ打ちだったということで、僕もきっちり勉強させられたんですけどね。。
ノリ打ちする時は相手の知識レベルをしっかりと把握しておけ、という勉強を・・・・・
これ、凄く大事です。。
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このように、「機械割」について誤解していたり過剰に意識しすぎると、こういった悲劇に見舞われることになります。
初心者さんや経験が浅い人たちは、何かとすぐに「確率の収束」を意識しがち。
ボーナス確率が1/240と言われたら、1/200で当たっていると「収束のためにこれからハマる・・・」という不安からせっかくの高設定をサクっと捨ててしまったり、逆にハマっている台に対しては「収束のためにこれから当たる!」と思い込んで過剰な投資をしたり。
機械割やボーナス出現率は、そういうふうに使うものではありません。
あくまで「おおよその期待値の計算」や「設定の推測」に使うものなのです。
決して、「高設定だけど、機械割と照らし合わせてみると出すぎているからヤメるべき」というような間違った使い方はしないでください。
機械割と正しく付き合うこと、これもパチスロ必勝法の一つです。
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