あれは、大学生活が始まって3ヶ月が過ぎようとした頃でした。
サークルにも入り、様々なイベントにも参加し、しまいには自分達でサークルを立ち上げたりして友達を増やすことに血道をあげていた僕ら。
いや、もっと正確に言うと、
できるだけ多くの女の子と知り合うためだけに血道をあげていた僕ら。
これが正解です。。
その甲斐あってか、ある時、なんとか一人のかわい子ちゃん(死語)を我が家へと誘導することに成功しました!
ちなみに誘い文句は、
「俺、元板前志望だったからそこそこ料理に自信があるんだよね。 なんか作ってあげるよ♪」
これでした。
どうやらこの子、「料理のできる男」にちょっと惹かれるらしく(
リサーチ済み)、まんまとこの作戦がヒットしたんですよ。
え?
実際はどうなのかって??
はっきり言いましょう。
市販のカレールーを使ってカレー作っても、
常軌を逸する味に仕上げる自信があります。
昔、強引にチャーハンを作ったことがあるのですが、とても人間には食える味ではなく、やむなく近所の犬にエサとしてプレゼントするも、
「キュゥ〜〜ン」という悲しい声をあげて逃げられた経験があります。
あれはさすがにビビりましたね。
ある意味俺ってすげぇ、って。
犬も食わない、なんてことわざがありますが、ことわざでもなんでもなく実際に起こることなんだな、と実感した瞬間でもありました。
やっぱ
チャーハンにお酢は入れちゃダメですね。
時代を先取りしすぎたようです。
・・・・・・・話戻します。。。
で、今までは、男女複数で我が家にくることは多々あったんですが、
女子単品でのご来場はこれが初。
いやがおうにも力が入ります。
しかもこの子は、僕的にはかなりど真ん中な子であり、周りにも人気のある才色兼備なお嬢様。
当然僕もベタ惚れしてました。
ここはゴルゴ並のパーフェクトな仕事が要求される場面だ・・・・・
ミスは許されない・・・・・
二人で我が家へ向かう道中、
「(やった・・・・ ついに叶った・・・・ これがしたくて一人暮らし始めたんだ俺はッ!!
このためだけに
カビパン食ってまで耐えてきたんだッ!!)」
と、この時は、異常にテンションが上がったもんです。。。
無事家へ到着し、まずは適当にこの子をそのへんに座らせます。
メシを作ると公言した以上、やはり何か作らないとエロい方向へは発展させられない・・・・・・
冷蔵庫を開けると、食材になりそうなのは卵とたまねぎとにんじんのみ。
むぅ・・・・・・・
やっぱチャーハンか?
しかし、ここで
犬も食わないキラーチャーハンは危険すぎる。。。
そんな感じで悩んでいると、不意に部屋の方から
「キャーーーーッ」という悲鳴が聞こえてきました。
何事かと見にいくと、なんとこの女、部屋の片隅においてあった炊飯器を開けてやがったのですッ!
忘れてた・・・・・・・
そういえば、一人暮らし始めた当初に一度だけ米を炊き、そのまま完全放置していた炊飯器のことを・・・・・・
3ヶ月も放置してあった炊飯器は、
まさにパンドラの箱。
絶対に開けてはいけないものです。
そして、本物のパンドラの箱と違って、希望なんぞどこにもありません。
あるのは、ただただ絶望的な色彩のみ。
あれって、何色って言うんだろ・・・・・・・・・
なんたるイージーミス。
まさかいきなり炊飯器に興味を持ちやがるとは夢にも思ってなかった・・・・・・
明らかにドン引きした表情を浮かべるこの子に対し、必死で言い訳する僕。
「い、いや、これはさ、米ってどんだけ放置したら色が変わるかなぁ・・・ なんて思ったりして・・・・・・」
おそらく、
世界中どこを探してもそんな奇特な実験をするヤツはいないでしょう。
僕だってそんなことはわかってます。
しかし、人間焦るとこの程度の言い訳しかできないもんなんですよ・・・・・・・
無言でいるこの子に対し、なんとなく言葉をかける僕。
僕 「じゃ、じゃあとりあえずメシでも作ろっか? チャーハンとかどう?」
女 「ちょ、ちょっと待って・・・・・ ご飯って何で炊くの・・・・・?」
僕 「何って・・・・・・ その炊飯器だけど・・・・・・・・」
女
「は?」
この時の「は?」は、もっと文字を大きくしてもいいくらいすごくデカい声でした。
尋常じゃないくらい眉間にシワ寄ってました。
「正気? 義務教育済ませてんの?」くらいの勢いでしたから。
なんか食欲がなくなった、という正直な気持ちを告白していただき、しょうがなくビールでもあおることにした僕ら。
1時間ほどした頃に、半ば強引に布団に誘い込もうとするも、「
虫がいそうだからヤダ」というごもっともな理由で拒絶。
さらに帰り際、
「ねぇ、このへんで
トイレ借りれるコンビニってある?」
というトドメとも言うべきキツイお言葉を頂戴する始末。
なんでウチでしていかねぇんだ・・・・・・
汚いってか?
汚そうだから使いたくないってのか!?
まさか
炊飯器一つでここまでダーティーなイメージを持たれてしまうとは・・・・・・
基本的にはキレイ好きなんだけどな・・・・・・・(←説得力がねぇ)
不思議なもんですね。
何年も前の話なのに、こういう体験ってのはまるで昨日のことのように鮮明に思い出せます。
相手の一言一句まで細かく・・・・・・・・・
一人暮らしを満喫中の男子諸君、炊飯器の米には気をつけるように。
米の色と比例して、
エロいことできる可能性がグングン下がっていきますので。
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