ゴーストスロッター 第71話
「どうしたの優司君？ 話って何？」 何も知らずに、ただ鴻上から『夏目のところへ行け、話があるらしい』とだけ伝えられた飯島。 「ああ・・・・ そ、その・・・・ ひ、久しぶりだよな、ホント。」 「・・・・・？ う、うん。 そうだね。」 「・・・・・・・・」 「で・・・・ 話って？」 「あ、ああ・・・・・」 少し間を取った後、意を決して本題に触れる優司。 「あ、あのさ！ 飯島、本当に鴻上のことを好きなのか・・・・！？」 「え・・・・・？」 「・・・・・・・・・」 「ど、どうしたの優司君・・・・・？ なんでそんなことをいきなり・・・・・」 「・・・・・いいから答えてくれよ。 どうなんだ？」 「・・・・・・・・・・もちろん好きよ。 だから付き合ってるんでしょ。 なんでそんな当たり前のことを聞くの？」 「・・・・・・・・・・」 「あの・・・・ もし考えすぎだったら悪いんだけど、私はもう優司君のことなんとも思ってないから。 そういう話はちょっと・・・・・」 「はっ！？ ち、違う！ 違うって！！ そういう意味じゃなくて・・・・・」 「え・・・・？ じゃあどういう意味？？」 「そ、それはその・・・・・ あの・・・・」 「・・・・・・？？」 「あー！！ もう面倒くさいッ！！ こうなったらはっきり言うけどさ！ 鴻上の野郎がどんな人間か知ってるのか！？！？」 「どんな人間って・・・・・ 普通の人でしょ？」 「普通・・・・？ 飯島、お前はあいつを養ってんじゃないのか？」 「え・・・・・」 「あいつはそう言ってたぞ。 『俺はヒモだ！』って。」 「・・・・・・・・まあ、そういうことになるわね。 彼の家賃も衣服代も飲食代も、一応全部私が受け持ってるし。」 堂々と言い切った飯島に対し、失望の表情を浮かべる優司。 心のどこかでは『違う』と信じていたのに、本人の口からはっきりと肯定されてしまい、受け入れざるを 得なくなった。 「そうか・・・・・ 本当だったのか・・・・・ でも、飯島はそれで本当にいいの？ いいように利用されてるんだぜ！？」 「そんな言い方はやめて！ 何も知らないクセに・・・・・ 健自だって、その分いろいろと私の為に尽くしてくれるんだよ？ 凄い大事にしてくれるし。 優司君と付き合ってた頃なんて比じゃないくらいよ！」 「そ、そりゃあいつは商売でやってんだから、いくらだって優しくするに決まってんじゃん！ あいつにとっては、ヒモってのは仕事だぞ！？ そんなことくらい理解しろってっ！」 「うるさいわね！！ もうほっといてよ！！ アンタには関係ないでしょ！？！？」 「うっ・・・・・・・・」 「何よ。 本当のことでしょ？ 無関係のアンタがしゃしゃり出てこないでよね！」 顔を真っ赤にしながら、怒りのあまり無意識に拳を握り震えていた優司だが、最後の飯島の言葉で 急激に冷静になっていった。 「・・・・・・・・ああ、そうだな。 そうだったよな。 俺と飯島はもう無関係なんだよな。 そんな俺がしゃしゃり出てくることないよな。 お前がどうなろうと・・・・ 風俗に叩き売られようと関係ないもんな。」 「え？ 風俗・・・・？ 何言ってるの・・・・・・？」 「なんでもないよ。 いつか鴻上の正体がわかった時に知ることになるよ。」 「・・・・・・・」 「もう行けって。 で、さっさと鴻上を呼んできてくれ。 じゃあな。」 「なんなのよ・・・・・」 ぶつぶつと不平を言いながら、その場を立ち去る飯島。 その姿を黙って見送りながら、言い知れぬ虚しさを感じる優司。 「（なんなんだよ・・・・・ 俺は何やってんだ・・・・・ 守ろうとしてる女から『しゃしゃり出てくるな』とか言われて、それで勝手にヘコんで・・・・・ クソッ！ なんで俺がこんなに悩まなきゃいけないんだ・・・・！ もういい！ あんな女、ほっとけばいいんだッ！）」 第72話へ進む 第70話へ戻る 目次へ戻る
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